2018.06.12 Tue

非言語コミュニケーションに学ぶ「コンセプトの大切さ」

こんにちは、宮本です。

東京オリンピック・パラリンピックまで、あと2年ですね!
自分が住んでいる国で開催されることは中々ないので、開会式や競技をぜひ生で見てみたいものです。

ところで、約50年前の東京オリンピック・パラリンピックで、日本に広く普及した「ピクトグラム」という非言語コミュニケーションをご存知でしょうか?
今回は、そんな非言語コミュニケーションから学んだことについて書かせていただきます。

非言語コミュニケーションとは

その名の通り、「言葉以外の手段によるコミュニケーション」のことです。
その種類はたくさんありますが、“顔の表情”や“声のトーン”なども非言語コミュニケーションのひとつです。

その他にも、街中でよく見かける“トイレのマーク”や“禁煙のマーク”など、文字を介さずに意味が伝わるものも含まれます。

ピクトグラム

非言語コミュニケーションのうち、視覚的要素の「ピクトグラム」というものがあります。
これは、絵文字や絵言葉のことで、対象物から視覚イメージを抽出して、文字以外のシンプルな図記号によって表したものです。

戦後復興期の東京オリンピックをきっかけに、日本でもいたるところに普及しました。
50年以上も前に広まったピクトグラムですが、2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けて、現在ピクトグラムの見直し作業が進められています。

そんな中、最近あるピクトグラムが話題になったのをご存知ですか?

日本人と外国人で認識が異なる温泉マーク

温泉のマーク、皆さん一度は見たことあると思います。
この温泉マーク、外国人から見ると「温かい料理」というイメージをしてしまうようなんです。

JISとISOの温泉マーク比較

しかし、各地の温泉関係者から「現行の記号を維持すべきだ!」という要望が殺到し、メディアでも多く取り上げられていましたよね。

JIS(日本工業規格)とISO(国際標準化機構)を比較したアンケート調査では、日本人の約6割が「JISの方がわかりやすい」、外国人の約7割が「ISOの方がわかりやすい」と回答。

さらに興味深いのは、日本人の中でも意見が分かれていることです。
外国人観光客を呼び込みたいISO派と、日本の文化を守ってほしいJIS派。

どちらにもしっかりとした理由(コンセプト)があります。

その結果、温泉マークは、状況に応じて選択できる選択制となりました。

むやみに国際基準に合わせることが、必ずしも良いことにばかり繋がるとは限らないんですね。

参考:【60秒解説】 温泉マークは選択制へ

50年ぶりに新しくなった洗濯表示

温泉マークのほかに、もうひとつ最近注目を浴びたピクトグラムがあります。
それは、洋服のタグに付いている「洗濯表示」です。

「洗濯」「乾燥」「漂白」の洗濯表示の遷移

日本でも平成28年12月1日から、海外で広く使われている洗濯表示が使用されるようになりました。

その背景には、日本で売られている衣類の約90%が海外で生産されているという事実がありました。
洗濯表示が統一されれば、ネット通販や海外旅行で買った服でも、安心して洗うことができます。

はじめは、慣れない洗濯表示にとても不便さを感じました。しかし、洗濯表示が変わった背景(コンセプト)を知ることで、理解することができました。

そして、日本にいる自分は不便だと感じるかもしれませんが、日本にきている外国人にとっては、表示が統一されている方が便利なんだろうなと思います。

参考:【60秒解説】 50年ぶりに新しくなる洗濯表示

コンセプトってとても大事!

多言語化が進む現代社会において、非言語コミュニケーションはとても大切なんだなと思います。

しかし、ただ文字を無くして絵で表現するだけで良いかというと、そうではありません。

温泉マークや洗濯表示のように、ユーザーのためにしっかり考えられたコンセプトが存在することで初めて、非言語コミュニケーションの可能性は大きく広がります。

Webデザインにおいても、コンセプトはとても重要です。
クライアントの希望(集客率アップ、知名度アップなど)や、ユーザビリティ(ユーザーにストレスがかからない、情報が分かりやすいなど)を満たすためには、コンセプトをしっかりと固める必要があります。

それは決してディレクターだけの仕事ではなく、デザイナーの仕事でもあるんだなと、最近の業務を通じて感じているところです。

おわりに

本日は、非言語コミュニケーションの視覚的要素である「ピクトグラム」を通して、「コンセプト」の大切さについて書かせていただきました。

ピクトグラムを初めて知ったのは、高校のある授業です。
その時は、「文字がなくてもイラストだけで意味が通じるなんてすごい!」と思っていました。

しかし、目が見えない人にとって、ピクトグラムはコミュニケーションツールになるでしょうか?

ピクトグラムだけが世界に広まったら、視覚障がい者の方たちの世界はすごく狭まってしまいます。

非言語コミュニケーションは、視覚的要素だけではありません。

声のトーンや話すスピードで、その人の感情が伝わるように、目からだけではなく、人間の五感を介して伝わるもの全てが非言語コミュニケーションといえるのではないでしょうか?

目が見えない人でも、耳が聞こえない人でも、言葉が喋れない人でも、外国語が分からない人でも、 誰もが、誰とでもコミュニケーションをとりやすい言葉、それが本当の「非言語コミュニケーション」なんじゃないかなと感じました。

今回は、視覚的要素に限定したお話をさせていただきましたが、他にも多様に非言語コミュニケーションは存在するので、今後も勉強していきたいと思います。

それでは、失礼します。

WRITERこの記事を書いた人

山本

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